2016/04/26

瑠璃色の日々

2016423
千日の瑠璃 5.14aR/Xのワンデイ・ワンプッシュに成功しました。
チーム完登になりますが怪我も無く、ついにマルチピッチルートとして完成させることができました。

   "この手のクライミングはケジメが一番大切。
     ルートの開拓とルートの完登は別物だと思っています。
     個と公の違いとでも言いましょうか。"

これはある先輩クライマーから頂いた言葉ですが、自分にとってこのルートのケジメは何なのか。
各ピッチレッドポイントで終わるなら、このルートがマルチピッチルートとして在る意義はどこにあるのか。
昨年、各ピッチレッドポイントを終え、ぼんやりと構想にあったワンデイ・ワンプッシュでの完登。
7ピッチ全てを地上から順番に一日でレッドポイントしていくというこのスタイル。
既に成果的には開拓初登したのだから十分だったし、本当ならばもう二度とあんな危険なクライミングはしたくなかった。
このまま何事もなく、次のクライミングに行きたい気持ちだった。
それでも何か心にモヤモヤが残ったままで、答えの見つからない禅問答のような気持ちを抱き続けた半年間だった。

でももうこのルートに思い残すことは無くなりました。
チームレッドポイントというスタイルは個人の成果という観点からすれば足らないかもしれません。
でもそのスタイルで終えれたのも自分にとっては意義あるものでした。
ワンプッシュの厳しさ、パートナーと組むことで得られる喜び、自分の弱さ、、
モアイフェースからは本当に多くのことを学ばせてもらいました。
十一面岩正面壁のピークに立った時、感動よりも安堵感とやっと次に向かえるという気持ちになれたことが何よりの答えでした。

ソロでのワンプッシュは次世代への課題として残そうと思います。
もし何かの折に気が向くかもしれませんが現時点では心はこのルートから離れてしまいました。
ワンプッシュを終えた夜、1人静かに過ごしたツバメ返しのハングでの夜は、とても心落ち着いたものでした。

10年間。クライミングを続けてきて本当に良かった。
これから先の10年間。どうなっていくのか。
楽しみです。


1P目、ハング越えの核心を抜けて。
右面、ビチャビチャです...

2P目、大ランジ手前の大レスト。
ここにも微妙に染み出しが...
3P目、第一核心。
3P目、第二核心のデッドランジ。
ここで落ちるとかなりやばいです。
4P目、20mランナウトの途中。大面岩からたまたま知り合いが撮ってくれました。
ロープが屈曲している二箇所のポイントがプロテクションですがこの後は頂点までノープロです。
十一面岩正面壁ピークにて

1P 5.12 R 佐藤
2P 5.13c R 佐藤
3P 5.14a R 倉上
4P 5.13d R/X 倉上
5P 佐藤 
6P 倉上
7P 倉上

最後に、32日間にも及ぶ黒部横断から帰ってきて短期間のうちに極限の状態で今回の成功を導いてくれた佐藤さん、プライベートにも関わらず足繁く映像として今回の登攀を残してくれた萩原さん。
お二人には本当に大感謝です。

2016/04/19

MOQ GURA

命は等しくみな尊いもの、という思いを乗せて飛騨の友人の活動をシェアします。
とても悲しい出来事が続いているけど、今自分にできることを全うできればと思います。

以下、MOQ GURAさんの記事からの抜粋です。


同じ想いの方がたくさん居ることを知り、引き続きMOQGURAは熊本大地震の募金を続けます。
いつもは売り上げの1割を募金させていただいてましたが、今後は6/30まで2割募金させていただきます。
1割を日本赤十字社にもう1割を動物愛護団体に募金します。
募金の様子はこのインスタグラムにて報告します。
MOQに賛同いただいた方の想いを、1日も早く被災された方の元に送れるようMOQGURAをピッチをあげて心を込めて準備します!



MOQ GURA

2016/04/17

One day , one push

4ピッチ目取り付きより
昨年初登した千日の瑠璃(5.14a R/X,7ピッチ)を完全なマルチピッチルートとして完成させるべく瑞牆十一面正面壁、燕返しのハングに戻ってきました。
今回はワンデイワンプッシュでの完登を目指します。
昨日は夜の10時頃までその準備を。雪解けや雨の影響で1ピッチ目には滝ができてしまっていますが…
沢登りのエキスパートも一緒なのでなんとかなるでしょう。
身世怱忙の日々、それでもただ今はとにかく自分のできることにベストを尽くすのみです。
燕返しのハング
モアイフェースの先住者。たぶんイタチくん。
モアイの顔の穴倉の中に住んでいて、
初めて会った時はビックリ
して飛んでいっちゃったけど今回はぐっすり眠ってました。
また今年もお邪魔します。

2016/04/08

登り、走り、坐り


久々の更新はもっと早く読んでおきたかった本たちをご紹介。
普段、クライミング以外の本に関しては如何なる良書でも出会うことなくばそれもまたよし、と結構淡白なのですが、クライミング関連の本しか読まない自分にとってはとても新鮮な内容で興奮が抑えきれずでした。
ちなみにいずれもトレイルランニング関連の書籍です。

まずは名著と呼び名の高い”BORN TO RUN””EAT&RUN”
「ランナーになる気がない人までランナーに変えてしまう困った一冊」
これはあとがきにある一節なのですが、小学生の頃に学年のマラソン大会でブービー賞をとった実績のある自分でも走りたくなる衝動に駆られてしまいました。
この本のテーマの一つでもある「如何にして走るか」という点もどこかで聞いたようなフレーズ。
数年前にベストセラーになった本なので知っている方も多いと思うのですが、常識に囚われない登場人物たちの行動規範は刺激的でクライミングにも活かせそうな、世界観が広くなる良書でした。

トレイルランニングというとどうしてもレース的、競技的な先入観があったのですが、そんな殻を破り去るには十分過ぎるほどの熱の籠った写真のオンパレード。
サードマンの存在を示唆するような記述がある点も印象的で、禅の側面、そして情緒的な背景に一気に引き込まれました。
本当に3000円は全然惜しく無い一冊でありました。

まだまだ鈴木大拙先生の説く無心の実感を得るに足りない自分にとって、ジャンルは違えど、そんな側面が垣間見える景色はとても羨ましく映りました。
全ては体得ありき、知得に留まってはいけないのだなと改めさせられました。


あと「EAT&RUN」の中で紹介されているビーガンというスタイル。
実はここ3週間ほど、その食スタイルを実践しているのですがこれがなかなか調子良いのです。
そのまず一歩を踏み出すきっかけになったMOQ GURA
飛騨の友人が作っているグラノーラで、知る人ぞ知る、っていう感じですが優しい味のするグラノーラです。
飛騨神岡の869でも購入できるそうなのでご興味ある方は是非。

MOQ GURA 

2016/03/02

千日登攀

先週末は千日の瑠璃スライドショー「千日登攀」でした。
体調を崩したりタミフル飲んだりしていたらいつの間にか一週間も経ってしまっていました。

今回、スライドを作るにあたっては「原色に忠実に」ということを意識しました。
そのため、スライドの一枚一枚は人それぞれ違った色に映ったのかなあと思います。
でもそれで良いと思うし、その中の一枚でも個々のクライミングを彩る一滴の糧になれればそれで良いと思います。

当日の様子など、登山ライター森山さんのブログや今回のスライドショーのお話を頂いたCRUXの木織さんのブログでご覧頂けますので気になる方はチェックしてみて下さい。

◎森山編集所
 「”千日登攀”スライドショー@CRUX大阪 」
 http://www.moriyamakenichi.com/2016/02/crux.html
Johnny's World
 「千日登攀:倉上慶大というクライマーと過ごした夜その1」
 http://kioriv12.blog90.fc2.com/blog-entry-440.html

 「千日登攀:倉上慶大というクライマーと過ごした夜その2」
 http://kioriv12.blog90.fc2.com/blog-entry-441.html


そして、この「原色に忠実に」ということに関して。
実は半年ほど前、今まで公開していたNMSの動画などを非公開にしました。
もともとスタイルの啓蒙としてアップしていた動画でしたが、結局は単なるムーブ解析の動画に成り下がってしまっている感が否めなかったのと、スタイルを実践するというのはそれなりのリスクを享受しなければいけないという部分のメッセージをちゃんと伝えられているのか疑問だったからです。
というわけで今回、クライミングは危険を孕むアクティビティというメッセージを込めてハイボルダーやNMSのフォールシーンをまとめた動画をアップしました。
今度は危険性ばかりが強調されてる!とか言われてしまいそうなのと、果たして落ちてるだけの動画(収録課題は全て登っています)に意義があるのか疑問なところですが、これがハイボルダーやNMSの”原色”です。
ちなみに高いところから落ちる時は「若干スライディング気味に落ちる」というテクニックは非常に有効です笑
興味ある方は御覧ください。


ハイボルダー&NMS ひたすらフォール from keita kurakami on Vimeo.

2016/01/28

初登攀行


昨年、ある先輩クライマーの方に紹介して頂いた一冊。
日本で初めてボルトが使用された登攀の記録と当時の激しい初登攀行を描いた山岳書です。
文中の一節を引き出しても、その登攀の生々しさが痛いほど伝わる内容でした。
あまりに感銘を受け過ぎてしまったのでその一節を紹介しようと思います。

「ザイルやハーケンは、積極的に登るためのものであって滑落の危険を防止するものとは考えられなかった。」

「思考よりも意欲に賭けよう、と僕は思った。肉体が欲するままに、数時間後にひかえている登攀に没頭しようと思った。」

「激増する登山人口に対する管理や指導は、山岳連盟等々、組織活動の問題であろう。しかし、より困難を求めようとする登山の在り方は、アルピニズムの本質に基づく問題であり、アルピニスト一人一人が解いていかなければいけない問題だ。」

「初登ルートには、登攀者が、自分自身に対する全くの誠実さで、自分を裸にし、困難に直面する冒険があるはずである。」

40年ほど前に発行された書物ですが今の自分のクライミング観を顧みるには十分すぎる内容でした。

2016/01/19

スライドショー

大阪クラックスさんにお声掛けしてもらい、千日の瑠璃のスライドショーを催して頂くことになりました。
※クラックス大阪店さんのFaceBookページより
週末土日、祝日に毎週岩場へ通ったとすると10年という期間はトータル1000日以上岩場に行っていることになります。
題目の「千日登攀」というのは千日の瑠璃を初登した10年目の節目になぞらえ題しました。

まだまだ人間的にもクライマーとしても未熟だし、スライドショーで大層なことが話せる自信も無いというのが正直なところです。
しかしクライマーが集まってコミュニケーションが生まれれば互いのクライミングを刺激し合えるし、文化自体も良い方向に進むと思います。
スライドショーでは開拓の風景や各ピッチの詳細など、ロクスノでは掲載しきれなかったB面側を話せればと思っていますが、このスライドショーがそんなコミュニケーションの場にもなればとも思います。
そして今回、クリーンクライミングの啓蒙活動にもつながればと思い、実質の参加費無料となるような設定にして頂いています。
ジムで登った後に、岩場の帰りにでも、なんてゆるい感じでお気軽にお越しいただけると嬉しいです。

また今回のスライドショー以外にも、お名前を並ばせて頂いているのが恐縮なくらい著名な方々の講演会等が催されるようなのでそちらもチェックしてみてください。
http://yukiyama.co.jp/mountain/2016/01/seminar.php (雪山大好きっこさんより)