2017/06/19

Seminar of JMA


日本山岳協会主催の海外登山技術研究会に講師としてお招き頂き、お話しさせて頂く機会を頂きました。
「新しいアルパインクライミングの可能性」という主題の中での講演ということで正直結構ビビっているんですが、アルパインも、トラッドも、マルチも、ボルダリングだって登山という大海原の体系の1つだと思います。
そんな視点から、私の講演ではこれまでに自身が行ってきたボルダリングからビッグウォールまでのそれぞれのクライミングを振り返ってみて、個々の持つ困難さの”質”について考察してみようと思いますのでこれからの登山のヒントが得られるような講演になれば嬉しいです。
他にも先輩クライマーの方たちの高所登山や大西さんの称名廊下のお話しなど、盛り沢山です。
梅雨のこの時期雨、お時間ある方は是非!


Let me introduce a lecture meeting, like seminar for climber and mountaineer.
This event is organized Japan Mountaineering Association and will be held 22 to 23 in July.
In my turn, 23, I will speak about my idea of hard trad climbing that is based on my experiences of recently trad climbing ascent.
So I hope it would be good conversation for exchanging each ideas about development of free climbing in our country.

2017/06/15

Horrible Bill


Today, really horrible bill was adopted in my country. It’s called Antiterrorism low. For sure, Japanese government is saying that it’s not for the average citizen only for the terrorist. But I can’t believe the explanation… (yes, they have never explained enough!) Actually, some freedom things such as thought, expression, speech and more are ruling out little by little I think…, and I can guess easily some depressing things are coming up behind us. So we have to stand up just now! And so, my first action to claim our free is FREE carb diet to climb beautiful rock as free climbing! Damn!!! 共謀罪法。何ともおそろしい法案が可決されてしまいましたね。 2020年のオリンピックを開催するための法案だといくら言われても、先の未来、オリンピックを懐かしむ光景よりも今日という日を憂い嘆く未来ばかりが想像できてしまう自分は果たして悲観的すぎるのでしょうか。 真面目な話、クライミングにおけるフリーの精神も何れ社会から排除され、完全に管理された岩場とジムでしか登れなくなる日が来るのではと本気で心配になります。 自由な思想、言論、スタイル、、、それら自由の表現をクライミングを通して主張し続けること。 少し大げさかもしれませんが、そうすることがクライミング文化云々語る以前に一人のロッククライマーとしてできる未来への貢献だと今は思います。 半ば反骨的に生きてきた人生ですが、これからはクライミングを通して不条理な社会により強くその姿勢を発信していければと思います。 というわけでフリーを求める反骨精神に習い、美しい山奥にある美しい岩を登る”準備”としてコソコソと先週から糖質”フリー”ダイエットを始めてやりました。

2017/06/05

Honnolding

白髪鬼でのグランドフォール、The Walk of Lifeでの20mフォール、DWSでの九死に一生のクライミング、、
と、3月からちょっと突っ走ってきたのでここらでひと休みと思っていた矢先に飛び込んできたニュース。

Freerider free solo!!!

Alex Honnoldさん(@alexhonnold)がシェアした投稿 -

こういうビッグクライミングをリアルタイムで見れる時代に生きていることに感謝です。
The Walk of LifeBMCの登攀記を纏めていたけど、パソコンにかじり付いている場合じゃ無いや。

自分も次のプロジェクトに向けて動き出さねば。

2017/05/30

The Walk of Life


先週末、無事帰国しました。
今回はトラッドクライミングを始める以前からの憧れだったThe Walk of Life(E9 6c)という、スラブルートとしては英国最難の一つが登れたり、またその後は今回の渡英のメインであったBMCミートにも参加しました。
ミートでは現地の英国国クライマーはもちろん、海外20カ国以上から集まったトラッドクライマーたちと時間を共有し、多くのことを学びました。
今回の渡英や最近の日本でのハードトラッドクライミングのお話は7月にある日本山岳協会主催の海外登山技術研究会で報告を行わせて頂く予定なのでご興味ある方は是非お越しください。
そして今回の渡英をサポート頂いたスポンサー様、長期休暇を頂いた勤務先とお取引様、そして友人にこの場を借りて感謝を述べさせていただきます。
最後に、今回の渡英で印象深かった会話の一節を。


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“What do you think what is the most important thing about climbing?”
「君がクライミングで一番大切だと思うことはなんだい?」
“Mmm…That’s a difficult question. And you? Do you have something for it?”
「うーん、なんだろうね。難しい質問だな。君は?」
“That's just patience. “
“For example, to keep staying on the wall, to be kept waiting for best condition and something like that.”
「忍耐力さ。長いルートをトライしてる時とか、良いコンディションを待っている時のような、あの耐え続ける感じ。」
“That’s true.”
「はは、確かにね。」
“And so, like this weather”
「そしてほら、この雨にもね。」
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素晴らしいロッククライマーが絶え間なく輩出されているU.Kクライミング。
それらは単なる命知らずの狂人達が行うクライミングではなく、自然と伝統の尊重、パートナーとの経験の共有、そして最大限フェアであろうとする姿勢…それらがうまく溶け込むことで英国のトラッドクライミングは強く太く絶え間なくその伝統と倫理が受け継がれているのだと思います。
年齢問わず、若いクライマー達も一緒になってトラッドクライミングの思想について語っていた。
深いです。

Supported by...
日本山岳協会
LOST ARROW,inc
Trail Butter Japan

2017/05/04

U.K 2

2017GW初日は恒例の瑞牆。
明日からのUKトラッドの調整に瑞牆屈指のハイボルダー・大黒岩へ。
実はこの岩は過去に天の川(初段)を登ったのみだったので、今回は大黒岩コンプリートを目標に。
結局、まだ登っていなかったコールサック(三段)、変光星(三段)、黄金虫(初段)などの段課題をグランドアップで登ることができ、UK前の調整としては満足いく内容だった。

コールサック(三段)、核心のダブルダイノ

黄金虫(初段)、かなり高め

個人的に感じた大きな進歩としては、大黒岩級のハイボルダーをノーマットで登るのはひと昔前だったら一日一本が限度で、登った後はグッタリしてしまうくらい膨大なエネルギーを費やしていたのだが、今回はそのぐったり感をほとんど感じず全て登りきれたことだった。
これは自力が格段に向上したのか、もともと緩んでいた頭のネジがついにポロっとどこかへ行ってしまったのかどちらかだろう、と我ながら本気で心配になるのだが、昨年の覚醒の完登の時にも感じた「ある傾斜のスラブはどこもスメアで登れる」という、過去に室井さんが述べていたそれが自分にも少なからず身についてきた実感を日々感じつつあるのは事実。
なので、スタンスを信じるメンタリティが培われた、ということで前者であると信じたい。

さて、明日からはUKトラッドとイタリアでのお仕事で約三週間ほどヨーロッパへ。
クライミングでは憧れの海岸のハードトラッドを登るべく、友人知人からボールナッツもたくさん拝借できました。



いずれにせよ安全第一で行って参ります。

2017/04/26

燈明 -The votive light-

-灯明の岩-

元禄十五年、前年の大火で焼失した善光寺本堂再建のため、南佐久各地から木材が伐り出され、南牧村海尻から伐り出された木は、湯川渓谷を経て千曲川へと運ばれました。
その木は現在も柱となり善光寺 本堂にあります。 
ある日、夕暮れに及んだ作業に難儀していると、渓谷の岩の一つが灯をともしたように明るくなり、人々の作業を助けました。
以来その200m近い巨岩は灯明の岩と呼ばれるようになりました。

八ヶ岳海尻温泉 灯明の湯HPより


-白髪鬼と燈明-
燈明の登攀では白髪鬼のボルトアンカーは使用しておらず、前半パートで白髪鬼をほぼ100%登っているのでボルトの存在意義に関して悩んだがボルトはそのまま残すことにした。
そもそも自分もリハーサルで使っていたのと、白髪鬼というルートを知る内にそのボルトの打たれた経緯が妥協点としてのボルトでは無く、もともとの支点の風化や不安定性など踏まえた上で打たれたものであるということを知ったからだ。
もし、そのボルトを撤去したとしたら白髪鬼というルートは死んでしまうだろう。
しかし将来、初見から完登における全プロセスでそのボルトを一切使わずに登るクライマーが現れた時には撤去に関しての議論がなされても良いのかもしれない。

グレード、スタイル、課題として定義されたライン
クライミングにおいて我々が定義付けるそれら全ては、何某かの目的を達成するための単なる手段としてそれ以上でもそれ以下でも無くそこに在る。
無謀と冒険、理想と妥協、そして手段と目的の境界を見極めるクライミングは辛く苦しい。
しかし、その選択を悩み、考え続けることで拓ける見地もあることを実践によって理解できた今回の登攀は、自身にとって大きな意義を持った。

仏教において無明を照らす智慧の光。神仏に供える灯火として供養の一つとされる燈明。
そのスタイルとラインを悩み抜いた末に繋がった、岩の上まで続く一閃のクラック。
その一閃が導く岩のラインを、燈明-The votive light-と名付けました。

Photo : Satoru Hagihara

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-The article of "The Votive Light" in Alpinist.com

2017/04/20

白髪鬼

先週のグランドフォールのトラウマを振り切り、恐ろしいランナウトにも耐え、ようやくそのルートの核心部を抜けることができた。
目の前には終了点とされるチェーン付きのボルトアンカーがあり、そのすぐ右方、3手延ばした先には両手を離せるほどの安定したテラスがある。
右脇から延びている別のクラックを経て、そのテラスに移れば本来目的としていた白髪鬼の完登である。
しかし、いま私が両手を捻じ込んでいる指寸ほどのそのクラックは、そこで途切れることなく岩の頂点まで続いていた。



<2本のクラック>
白髪鬼というルートは、現在では壁の途中にあるボルトアンカーを終了点としたルートとしてほぼ定着している。
また、そのボルトアンカーから3手ほど右方に手を進めると、別のクラックを経て両手を離せるほどの安定したテラスに移れる。
その終了点の位置も、安定したテラスの存在も、そこでピッチを区切り、ルートの終了点とするには実に合理的で、形状の弱点をついたごく自然な終了点である。
しかし、ただ一点、不自然な点があるとすれば、それまで登ってきたクラックから脱線し、別のクラックに移って終了となることであった。
実際、白髪鬼の指寸にも満たないそのクラックは、そのボルトアンカー付近で途切れることなく、そのままさらに左方に延び、岩壁中央のクラック(テレパシー/5.10+)に繋がっている。


<ボルトアンカー>
歴史を紐解くと、そのボルトアンカーは保科氏によるピンクポイント初登、吉田氏の第2登の後に打たれたもので、それまで白髪鬼のビレイ点は不安定な岩が重なり合ったブッシュからロープを延ばし細い立木に設けた、ビレイ点としては些か頼りないものであった。
そこには今でも当時使われていたであろう苔むしたロープが垂れ、その名残が残っている。
そして、それまでピンクポイントに留まっていた白髪鬼は、多少なりともそのボルトアンカーの一助によって、マスターリードレッドポイントというより良いスタイルで完成された。
しかし、そのボルトアンカーにぶら下がる度に、「なぜ私はトラッドルートをトライしているはずなのにボルトにぶら下がっているんだ?」という疑問が脳裏に浮かんだ。

Old anchor
Photo:Kenichi Moriyama

<手段としてのスタイル>
・グランドアップ
当初の目的は「白髪鬼をより良いスタイルでレッドポイントする」という発想の基で今回のクライミングは始まった。
まずはグランドアップでのトライだった。
昨年と今シーズン、一日づつ計2日間をこのスタイルでトライし、実際にグランドアップによるクライミングで白髪鬼の終了点には至った。
しかし、いざレッドポイントとなると複雑さが増した。特にギアの回収という問題であった。
レッドポイントトライで、もし途中でフォールした場合、ギアを回収するにはそのまま終了点まで再度登ってロワーダウンしながら回収するか、クライムダウンしながら回収するか、もしくはパートナーに回収に行ってもらうかだった。
しかし、フォールの度に「ギア回収のためのクライミング」を繰り返すうちに、当初のグランドアップの精神、未知なる一手への駆け引きという冒険性はもはや薄れていってしまっている感覚を覚えた。
そして、そもそもオンサイトでない限り、トラッドルートでのグランドアップでのレッドポイントに深い意義があるのか、たとえ達成したとしてもそれは単なる「グランドアップで登った」という形式上のタイトルであって、果たして自分の求めるものはそれなのか、という疑問が生まれた。


・ロープソロ
しかし、よりよいスタイルで白髪鬼は登り切りたい、という思いは消えず、そこで選択したのがロープソロだった。
そもそも白髪鬼というルートの歴史は、保科雅則氏や中嶋徹氏が実践してきたように、その節目毎により良いスタイルで登られてきたというクライミングにおける冒険性の象徴のようなルートで、初登の保科雅則氏が残した、冒険に対する格言。新たなスタイルを目指すチャレンジ精神と精神性の不滅。
とにかく、それをこのルートで実践し、理解したかった。
しかしやはり、ロープソロスタイルにおいても、その複雑さは付き纏った。
そもそも自分のロープソロシステムでは湯川の柔らかい岩質で行うトラッドルートには不向きであることも知り、実際、フォール時の衝撃にプロテクションが耐えれず、極めていたカムが3本すっぽ抜けてグランドフォールという痛手も負った。
ロープソロを選択した理由は、実は他にロープソロでやりたい(ロープソロで登ることで大きな利点が得られるルートの登攀)の実験的な目的もあったのだが、いざ蓋を開けてみると手段としてのロープソロシステムの利点・欠点と今回のルートの性質はそもそも全く噛み合っていなかったことを知った。

Rope solo on Hakuhatsuki
Photo:Kenichi Moriyama


そのスタイルの選択に苦悩し、冒険性の追求を目的としながら、スタイルという手段そのものが目的化したとたん、複雑さを纏い、クライミングのシンプルさを損なった結果、冒険性にも霞がかかってしまっていることに気がついた。
その苦悩のうちは、まるで一寸先も視えない霧雨の中にいるような感覚だった。


つづく