2016/01/28

初登攀行


昨年、ある先輩クライマーの方に紹介して頂いた一冊。
日本で初めてボルトが使用された登攀の記録と当時の激しい初登攀行を描いた山岳書です。
文中の一節を引き出しても、その登攀の生々しさが痛いほど伝わる内容でした。
あまりに感銘を受け過ぎてしまったのでその一節を紹介しようと思います。

「ザイルやハーケンは、積極的に登るためのものであって滑落の危険を防止するものとは考えられなかった。」

「思考よりも意欲に賭けよう、と僕は思った。肉体が欲するままに、数時間後にひかえている登攀に没頭しようと思った。」

「激増する登山人口に対する管理や指導は、山岳連盟等々、組織活動の問題であろう。しかし、より困難を求めようとする登山の在り方は、アルピニズムの本質に基づく問題であり、アルピニスト一人一人が解いていかなければいけない問題だ。」

「初登ルートには、登攀者が、自分自身に対する全くの誠実さで、自分を裸にし、困難に直面する冒険があるはずである。」

40年ほど前に発行された書物ですが今の自分のクライミング観を顧みるには十分すぎる内容でした。

2016/01/19

スライドショー

大阪クラックスさんにお声掛けしてもらい、千日の瑠璃のスライドショーを催して頂くことになりました。
※クラックス大阪店さんのFaceBookページより
週末土日、祝日に毎週岩場へ通ったとすると10年という期間はトータル1000日以上岩場に行っていることになります。
題目の「千日登攀」というのは千日の瑠璃を初登した10年目の節目になぞらえ題しました。

まだまだ人間的にもクライマーとしても未熟だし、スライドショーで大層なことが話せる自信も無いというのが正直なところです。
しかしクライマーが集まってコミュニケーションが生まれれば互いのクライミングを刺激し合えるし、文化自体も良い方向に進むと思います。
スライドショーでは開拓の風景や各ピッチの詳細など、ロクスノでは掲載しきれなかったB面側を話せればと思っていますが、このスライドショーがそんなコミュニケーションの場にもなればとも思います。
そして今回、クリーンクライミングの啓蒙活動にもつながればと思い、実質の参加費無料となるような設定にして頂いています。
ジムで登った後に、岩場の帰りにでも、なんてゆるい感じでお気軽にお越しいただけると嬉しいです。

また今回のスライドショー以外にも、お名前を並ばせて頂いているのが恐縮なくらい著名な方々の講演会等が催されるようなのでそちらもチェックしてみてください。
http://yukiyama.co.jp/mountain/2016/01/seminar.php (雪山大好きっこさんより)

2016/01/15

2016年始ツアー

スカイラインのプロジェクト

先週まで年始のお休みを少し延長させてもらい、開拓中という九州の大岩壁へクライミングツアーに行ってきました。

道中、滋賀の桐生辻という岩場に寄り、クラックのクの字も知らなかった3年前にトライして全く歯が立たなかった「雄鹿が鳴くと雨ずらよ」(5.12a)というクラックの課題でツアーの幕が明けました。
アプローチ含め2時間というタイムリミットの中、ノーマット、ノースポット、グランドアップという理想のスタイルでこの課題を登れ、大きな成長を感じることが出来ました。
この課題は上部で落ちるとその先は崖になっているのでかなり集中した良いトライができ、最高の登り初めにもなりました。


さて、本題の九州ですが大崩山のやかん岩という岩壁にあるヘッドウォールプロジェクトをひたすら攻め続けました。
今回は力及ばず、スカイラインを駆け抜けることは出来ませんでしたが、モチベーションを駆り立てられるワールドクラスの岩壁群を拝めたことと、開拓クライマーの方たちの情熱の片鱗に触れることができたのは大収穫で、まだまだ自分も頑張らねばと思える良いツアーでした。
ちなみにこのプロジェクトですがかなり難しかったです。
ホールド全てがシビアでいつでもどこでも落ちれるムーブの連続…小川山の伴奏者を垂壁の傾斜で登るイメージでしょうか。

あのスカイラインを駆け抜けたい。

また戻ってきます。

「雄鹿が鳴くと雨ずらよ」(5.12a)


やかん岩

2015/12/29

30

年が明けてしまう前に、、
先日30歳になりました。
10年前に比べれば少しは成長したかなぁと思いたいところですが、相変わらずのクライミング中心の生活は加速しているように思います。
また来年もドロップアウトしない範囲で地道に限界を責め続けたいと思います。

歳を重ねるごとに、この限界を押し上げるということに関しても色々な変化がありました。
20代前半の頃は平行線沿いのことをやり続けても全く無意味だと言い放って少し尖って生きていましたが、ここ最近は地味にでもコツコツと続けていれば、通ってきた道を省みた時にほんの僅かでも傾きを帯びた線になっているのかもしれないなぁと思えるようになりました。

そんなこんなで仕事納めの後は相変わらず山奥に籠ってます。
そんな山奥で二人の大先輩クライマーにお会いし、長年トライし続けているというDay dreamラインを触らせてもらったり、エリアを案内して宿を貸して頂いたりと充実した年末を過ごしてます。
アルパインクライマーの方達との出会いもこの場所だったし、なんだかご縁がある土地なのかもしれません。

とりあえず10年後には描いた線が下降線だったとならないよう精進していこうと思います。
また来年もよろしくお願い致します。

2015/12/17

課題に付随する存在


つい先日、ゲートが閉まるまでの残りわずかの週末に瑞牆ボルダーの十六夜(初段)の左手にある十五夜(二段)を登りに行った日のことである。

道路沿いの駐車場からアプローチし目的の岩を目指していた時、ふと以前登った水蛭子(三段)という課題の横を通り過ぎようとした時にある違和感に気付いた。

居ないのだ。

その課題において、登攀の困難さと登攀そのものをより深いものにし、課題を克服した時にはより一層の充足感を与えてくれたその存在が。
あまりの衝撃に怒りを通り越し、おそらく一生理解しあえないであろう者達がここ瑞牆にも訪れ、そして課題を破壊して貶めているという事実に大きな失望を覚え、落胆した。
写真はその存在がまだそこに居た2014年5月の写真である。
目を疑い、周りを見渡すと、あまりに不自然な場所に赤裸々な姿を曝け、その存在は悲しげに横たわっていた。

なぜクライミングにおいて、その岩のラインであったり、ルートが"課題"と呼ばれるのか。
ここ最近騒動となっているチッピングの問題と、この下地を極端に変化させてしまうという問題の根底は同じ場所にあると私は思う。
それが何なのかこの場で深く語ったところで真意を伝えるには限界を感じるが、今までその内容に関して腑に落ちなかった部分の残っていた室井氏が過去にロクスノで投げかけた「下地に問われるもの」という記事の真意が、自分の身に起きてようやく解せたような気がした。

「クライミングとは生活技術も含め、山頂まで到る行為の全てで、決して地面から終了点まで到ることではない。だからこそ、山頂に到るためのスタイルや倫理へのこだわりは、クライミングの本質に関わる問題である」
これはある尊敬するクライマーの言葉を拝借したものだが、自戒も込めてここに残そうと思う。

2015/12/11

物差し

今季発売されたROCK&SNOW 70号に、今秋瑞牆で初登した千日の瑠璃の特集記事を組んで頂きました。
開拓を通じて感じ気付けたクライミングを、拙い文章ながら形にさせてもらい、また今回の開拓にあたって色々とご教示頂いた諸先輩クライマーの方達にも筆を執って頂きました。
字数制限の関係で開拓記は全文掲載はできなかったのですが、いつまでも過去のことに身を置いていても仕方ないのでこのままお蔵入りしようと思います。
でも他にも読みどころ満載なので是非手に取って頂けると嬉しいです。

個人的には特にソロクライマーの系譜という記事中のALEX Honnold氏のこの一節がとても印象的でした。
「1日で両ルートを登ったという事実は、僕の中ではさして重要ではなかった。重要だったのは、とにかくそれをやろうと思ったこと、そしてそれに成功したことが自信となって、もっと大きなフリーソロへと思いが向かい始めたことだった。」

クライミング能力を押し上げる時に最も大切なこととは何だろう、ということを最近よく考えます。
ボルダーやルートにしても自分が今までしてきたクライミングは果たして限界を押し上げた結果だったのか、それとも単にその時登れる課題を登れるように登ってきただけなのか。
限界を押し上げる時、登攀能力はもちろんだけど、それ以上にその課題を取り付くという覚悟を持つことの方が難しくて、登攀能力は対象の課題を決定する時の物差しに過ぎないのではないか。
でもその物差しのスケールを見誤ると取り返しのつかないことになるのかもしれない。
自信と過信の境界がわからなくなってきて、客観性を失っていないか不安になります。


成功体験が強烈に頭に残っていると、次からは失敗する。
自信を得るもっとも容易な方法は、過去にしがみついて新たなる挑戦をやめることだ。


ある冒険家の方の言葉が脳内を巡っています。
次なる構想はたくさんあるのだけれど、自分の物差しが見極めきれない。
取り返しがつかなくなるのも、死んだ様に生きているのも自分にとっては同義。
悩んでる時間も嫌いではないんだけど、でも、進まなければ。

2015/11/24

あの沢の向こう

マルチ、スポート、ボルダーなどなど充実した三連休でした。

宝冠岩/アショーカの樹(3P / 5.13b?) 2nd Ascent
Sky Rocket初登者である福田さんの新作。
綺麗な弓状ハングをバランシーなムーブで越え、一息ついたと思いきやの駄目押しスラブ。
グルーパートがあるのはちょっと残念だけど、それをも払拭する見た目と内容のとても素晴らしいルートでした。
2P目
K山ハング(仮)プロジェクト
8年前にボルトが打たれたまま眠りに眠っていた課題。
ボルダーとしても登れそうだけどスポートルートとしてトライ。
スタンドスタートでも四段くらいありそうな...
LOWは軽くドリームです。
K山ハング(仮)
開拓エリア一帯にはまだまだボルダーも眠ってました。
月の雫(2段 / SDS) FA
ルーフ奥のガバカチからスタートです。
マルチでもとんでもなく難しそうなのもあるし、ボルダーも充実。
まだまだ遊べそうなエリアです。