2017/02/27

史実と事実


想像を超えたハードルートと膨大な開拓の軌跡。
史実と事実の差異を見る時、カッコイイクライマーとは何であるかを知る。


2017/01/17

U.K.1

今年の登り初めはUKトラッドでした。
パートナーはイギリス留学中のNao坊さん。

イギリスには移動も含めて10日間ほどの滞在でしたが、そのうち1週間をPeak District周辺で過ごしトラッドクライミングを楽しんできました。
名物といわれるほど雨の多いイギリスのクライミングエリアですが、我々も例に漏れず雨と強風にやられまともに登れたのは4日間ほど。
ちなみにローカルクライマー曰く「この日数登れただけでも奇跡!」だそうですが・・

Gaia (6c E8)

成果としてはUKトラッドの象徴的ルートとも云われるGaia (E8)が登れ幸先良い新年を迎えられました。
上部で想定していたムーブができず、最後のリップ取りで右往左往してしまいかなり肝を冷やしましたが特徴的な見た目と弱点をついた完璧なライン取り、そしてボルトレスの爽快感...
スタイルはグランドアップではありませんでしたが、ほぼムーブも固めず登れたので個人的には大満足。
昔のロクスノでトオル君が「完璧な、芸術的な一本」と評していましたが大いに納得の一本でした。
やはり人の手の加えられていない自然の造形に従う登りは素晴らしいです。

KEITA Kurakamiさん(@keitakurakami)が投稿した動画 -

結局、時間と天気によって難しいトラッドを登ったのはこの一本のみで、あとはボルダを楽しんでいたのですが、その中でもUnfamiliar(E7)という10m程のハイボルダーは印象的でした。
こちらはグランドアップでトライし続けたものの、結局決意の一線が超えれず敗退になりましたが充実したトライを重ねられたので悔いは無しといったところです。また次回。

Unfamiliar (E7)
他にはパートナーのNaoが登った”Not to Be Taken Away”も◎
草原の中にドシッと構えるボルダの、レール状ホールドに導かれ登っていく爽快な課題です。
スタート時のフットホールドの磨かれ具合に歴史を感じた一本でした。
Stanageエリアに行った際は是非。


それにしても話に聞いていた通り終了点含め、何千とあるルート中に本当に一本もボルトが見当たりませんでした。
岩のトップにはボルトはもちろん、立ち木もなく自身のギアで全て作らなければならないのでグランドアップで攻める際はギアをどれくらい使うかの駆け引きがより一層濃くなります。
ちなみに有名なEグレードですが、実はEを表す「Extream」というグレードの下に何種類も区分があるんですね。
これも実際にその辺りのルートを登ってみて歴史の深さを実感。

そしてクライミングトリップの後はパートナーの寮があるBrightonという海辺の町へ。
フラットメイトの方たちも快く迎えてくれ、インドとハンガリーの郷土料理をおもてなし頂いたり、フィッシュ&チップスを食べたりと充実した休暇を満喫。


一日だけバスで行けるクライミングエリアにも行きましたがここもなかなか面白いエリアでした。


スキー、カヌー、アーチェリー、クライミングなどなど、色んなアウトドアアクティビティが楽しめるという独特な雰囲気の中でクライミングも楽しむ、そんなところです。例に漏れずエリアの説明はこちらにおまかせ
当日は雨のあとで岩が乾かずピクニック気分でしたが良い休日でした。

さて、次回の渡英は5月にあるBMCクライマーズミーティング。
今度はもう少し攻め気味で行くつもりです。
憧れの海岸沿いのあのルートも登ってみたいし・・
そんなわけで今年は少し自力アップのためハードボルダやルートを攻めてみようと思います。
ヨセミテリベンジのためにも技術・知識面でも成長します。
クライミング成果としての目標は(垂壁以上の)V155.14後半でしょうか。


本年もよろしくお願い致します。

2016/12/29

覚醒



頭痛の完登からちょうど3年
小川山、不可能スラブの覚醒(五段)が登れた。
覚醒としてのトライは2日間。トライ回数は10回ほど。

正直こんなにも早く登れるとは思っていなかったのでラインが間違えていたのではと思ったが(実際、頭痛(三段)からの派生なので微妙にラインが分かりにくい)、初登の室井さんにも確認をとってみたところ課題のハイライトであるリップ直下のハイステップムーブは経ているし問題なさそうであった。
スタイルはグランドアップ。薄いマットを敷いていたので完全なノーマットスタイルでは無かったが今の自分の実力とコンディションからすると限界は突き詰められたと思う。

何故、今だったのか。
登れた要因として考えられるとすればここ2年くらいで経験したトラッド、マルチピッチ、ビッグウォールクライミングを経たことだろう。
確かにトラッドでは精神力とムーブの確信力を、マルチとビッグウォールでは忍耐力を養われたと思うし、実際あれだけ苦労した頭痛のパートはもはやアプローチに感じるほど自分の繰り出すムーブに自信を持つことができた。今なら頭痛は何度でもリピートできる自信すらある。(覚醒トライでは実質5回は登った)
そして今回の狙いは地獄変(四段)のノーマットでの完登だったのだが早々に登れてしまい、気負いなく覚醒をトライできたということもあるのかもしれない。

いずれ完全なノーマットで登るかはわからないが私にとって不可能でしかなかったこの岩が可能になった。
この岩の名を知ってから11年間。そして頭痛の完登からちょうど3年。
なんだか感慨深いです。



I got one of the hardest slab boulder problems in Japan, Kakusei(The vigilance/覚醒)V14 or 15, from ground. The rock in the picture is called "Fukanou slab(Impossible slab/不可能スラブ)”, Kakusei is the direct line to the top on the clean face.
This problem was established by Tokio Muroi in December 2007.
Before then, he used to say "Everybody is saying that it is impossible to climb the slab. I don't know who will get it, but I think it is not impossible...". 
In the end, he made the first ascent of Kakusei without crash pad, and became the first person who made impossible to possible.

However, fortunately, I got the ideal condition then, and made the second ascent. I became the second person who made impossible to possible!
Today is the best Christmas ever for me!

2016/12/22

Be Cool

先週末は久々に瑞牆トラッドへ。
先輩クライマーK山さんがハードトラッドをトライするというので同行してきました。
トライしたルートは室井さん不動沢R/Xシリーズの1つ「眩暈のする散歩 5.13b R/X
今回はグランドアップ、試登無しのスタイルで。




実はXグレードの付くトラッドをグランドアップでトライするのは初めて。
今回は2度トライし、いずれも核心に入る手前の一歩が踏み出せず敗退という結果でしたが(そこで落ちても結構痛い目にあう)ノーマットともハイボルダーとも違う感触に不思議と満たされています。
RXのルートをグランドアップでトライするというのは葛藤する時間も質もより深いものになるということ、そしてスタイルを貫く困難を身を以って実感出来ました。
(ちなみにイギリスではトップロープトライを行った時点でトラッドとみなされないEthicもあるらしい...)

とはいえ今の自分にとってはまだまだ挑戦ではなく無謀という言葉の方がしっくりきてしまうし、次のトライがいつになるのかという自問への自答はすぐには出来ない。
でも次回もこのスタイルを貫いて完登したい。
いずれもっと強くなってリベンジしよう。
Trad、深いです。
・・・・・・・・・・・・・・

In last weekend, I tried R/X traditional route "Dizzy Walk 5.13b R/X" , from the ground, in Mizugaki.
Actually, to keep trying kind of X routes on this style is the my first experiences.
But, it is too tough for me… 
I think it is just a recklessness, not a challenge yet.
Anyway, sometimes, I have to be back to try same style.
In order to be coolest climber than other one.
Traditional climbing is so rad...




"Scary runout & great fall. Kouyama on Dizzy Walk 5.13- R/X." 

from @hagi_satoru

2016/11/23

Alpinist Magazine 56 and 9th Golden Climbing Shoe Awards,


My and our article, story of A Thouthand Days of Lapis Lazuli, has been published in the current number of Alpinist Magazine, 56. 
And thankfully, I was given 9th Golden Climbing Shoe Awards, as part of 11th Piolets d’Or Asia Awards.

I'm so much thankful to Katsutaka known as "Jumbo" for suggesting to write the articles, to Satoru for taking the photo, to  Naoko for supporting to write in English, to Alpinist staff, especially editor-in-chief Katie and Paula, for giving this opportunities, and to my elder climbers for advising anytime anything…

By spreading the information about individual society and culture, I hope that people will be interested in and known it. 
As a result, some intercultural exchanges will be born, and then, each culture will be developed gradually. 
I think those way is wonderful, and it is my motivation to write kind of articles.
I wish this article helps well such as it.


少し前のことになりますが瑞牆山で初登した千日の瑠璃に関する記事が、Alpinist56に掲載されました。
また、先日韓国で開かれたピオレドール・アジアにおいてGolden Climbing Shoe Awardsなるものを頂きました。
壁の中にいたので授賞式には参加できなかったのですが、どんな形にせよ自分のクライミングが評価されるのは素直に嬉しいものです。

Alpinistの記事にはルート開拓のストーリーを軸に、瑞牆山の地理的・歴史的景観のことや日本におけるフリークライミング発展の歴史など盛り込み、海外クライマーの人たちに少しでも瑞牆の魅力と史実を伝えられるよう努めました。
海外誌なので記事は全て英字ですが毎号のことながらAlpinist誌は写真のクオリティも素晴らしく、眺めるだけでも十分楽しめる登山誌だと思います。
Alpinistってなに?という方にも是非手にとってみて頂きたい一冊です。日本の輸入代理店が勤め先のロストアローというのも感慨深い。

今回、記事を執筆するにあたり改めて発信することの意義と重みを実感しました。
三ヶ月に及んだ文献調査と執筆作業には何度か心折れそうになりましたが(モアイ開拓の時のそれよりも多かったかもしれません)、それでも沢山の方のサポートのお陰で形にすることができました。
特に今回、執筆の話を持ち上げてくれた横山ジャンボさん、写真提供で大いにサポート頂いた萩原巨匠とPUMP内藤さん、自身の拙い英語力をカバーしてくれた直ちゃん。そして、唐突なFact Checkingの依頼にも快く応対して頂いた諸先輩クライマーの皆さんと、このような機会を与えてくれたAlpinist誌には感謝しきれません。
発信することによって個々のクライミングシーンに興味を持つ人が一人でも増え、異文化の交流が生まれる。
互いの思想の違いや歴史の違いからの衝突も生まれるだろうけど、そんな文化発展のあり方が素敵だと思うし、その先にあるものはきっと素晴らしいものだと思う。

今回の記事もそんな文化形成の一助になれば良いなと思います。

2016/11/12

1 month tour of Yosemite

The Nose of ElCapitan is the skyline in the photo
Our 1 month tour of Yosemite has finished.
But our work, trying The Nose on free, has not finished...
During this tour, we spent 19 days on the wall, and 10 days raining...


5.12 traverse under the "Stove Leg" 

Ledge of under camp6

So cold rainy day...we slept on the camp5 under raining.
Nevertheless, I have no regrets. 
Because we always kept mind to try on ground up style at ascending in the route and l was realized many important things from the big wall. 
And we could stand on the summit twice in ElCap include aid climbing.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


And so, I enjoyed bouldering in this tour only 2days (totally about 5hours). 
I climbed classic crags in Camp4 area: Midnight Lightning、Bacher Cracker、King Cobra、The Force. 
And I'm happy to be able to climb without crash pad on The Force. 
I noticed again I like any climbing any styles. 



Without crash pad on The Force. 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Finally, I’ve got a lot to thank friends for.
We were supported many people.
At first, I was supported some gear from some company in below.

 LostArrow inc. (BlackDiamond, SCARPA, Beal and more)
 Tokyo powder Industries (chalk)

And almost we stayed in Camp6 on the wall, and we saw over 15 parties off. 
They encouraged us and give me some food. 
I owe it to them that I was able to lead a full life in this tour. 
Many thanks again!!
We will be back here next year!


Meet on the wall.



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1ヶ月間のヨセミテツアーが終わりました。
 期間中10日間が雨という条件の中、GoUp2回、壁の中には計19日間滞在という(個人的には)怒涛の日々でした。
ツアーのほぼ全てをElCapitan / The Noseのフリートライに費やしましたが核心ピッチのChanging CornerとGreat Roofは登れず。結果は敗退です。
ロープワーク、タクティクス、生活力、空腹の日々、、初めてのビッグウォールは何から何まで至らないことばかりで登り超えられない壁を目の前にして自身の未熟さを痛烈に思い知らされました。

それでもElCapの頂上には2回立てたので(一応エイド混じりでは2回完登)できたのと、グランドアップを貫き通したトライ、そして全力を出し切った日々に後悔はありません。
今の自分の実力でやれることは全てやりきった日々を思い返すと清々しさすらあります。
そしてまだまだイケる、その感覚が微かでも残っている限り1年間鍛え直してまた戻ってきます。


また、今回のヨセミテツアーでは合間を縫って少し(2日間ほど)ボルダリングも楽しみました。

Midnight Lightning、Bacher Cracker、King Cobra、The ForceとCamp4エリアのクラシックを抑えられたのでボルダラーとしての威厳?はキープ。
現地で知り合ったU田さん夫妻のアツイ最終日トライが見れたり、現地のクライマーの知り合いも増えたり、ノーマットが実践出来たり。
やはりボルダーも自身のクライミングエッセンスの大切な一部だと感じました。


最後に、長期の休みを頂ける環境と応援してくれる人がいること、壁の中で激励してくれた(食料も分けてくれた!)友人たち、そして何より未熟な自分を引っ張ってくれたパートナーの裕介さんには大感謝です。

そして、今回のツアーも含めてここ数年で知ったクライミングは本当に素晴らしいものだったし、クライミングの奥深さを知りました。

このクライミングを通じて得られる感動をもっと多くの人に、特に若いクライマーに知ってほしいと思いました。
そんなことを思いながらまた日本でも活動していけたらなと思います。


2016/09/05

2016 summer

書き溜めた切れっ端のままの文章は、夏の足早さとモノグサの性分が足を引っ張ってなかなか繋ぎに転じずでした。
といいつつも、筆が進まなかった理由は他にもちゃんと()あるのでここで弁明。

実は前回紹介したAlpinistWEB記事ですが今回、紙面の方にも掲載頂くことになりました。
といっても、ルートそのものよりも今回は瑞牆のトラディショナルな部分をクローズアップしたものに仕上げられればなと思っていて、もはや軽く論文並みの原稿になってしまいましたがいよいよ日本のフリークライミングの文化をどっしりと海外に発信できるチャンスに恵まれたことにワクワクしています。

第一歩は踏み出せても、繋がらないもどかしさを抱き続けていた20代。
でも今やっとしっかりと立って二歩目を踏み出せた気がします。
これも今まで支えてくれた人たちに感謝。そして今回もキッカケを作ってくれた横山ジャンボさんとパートナーの後押しがあってのこと。重ねて感謝です。


MegosくんのRルートのフラッシュといい、ファビアンの垣根の無さっぷりといい、最近耳に入る国内外でのトラッドの成果にはクライミングが寧ろクライミングらしさを取り戻すかのようにクライマーを奮い立たせているなぁと感じます。
クライミングはさらなるフリーを求めて次はどこに向かうのか。

いよいよ時代が来るのかと思うと楽しみです。


では前置きが長くなりましたが切れっ端の文章と併せて写真で近況をば。

今年こそ行くことができた869 BBQ
地元エリアのナイトボルダーも良い思い出。
開拓中のエリアでは「夏夜の宴(かよのうたげ)」(初/二段)を初登させていただきました。

ランチもディナーも堪能させて頂いたビストロ Bugaboo
この夏一番の成果は何と言ってもBugaboo wallでの初登かと。
オーナー・ヒロさんのご厚意で、初登祝いにデザートを御馳走になりました。
課題も料理もオススメです。
日本のフリークライミングの夜明けともいえる象徴的なルート「春うらら」
灼熱の中、粘りに粘っての全ピッチオンサイトできました。
オンサイト自体には結構無関心なのですがトラッドルートとなるとまた格別でした。
そしてその後はポータレッジの夜(地上2m
今秋のヨセミテツアーに向けて。意外と快適でした。

小林トレーナーの出張コンディショニング講座@ジャンボさん邸
多忙な中、新潟から駆けつけてくれました。

また来年、お邪魔します!