2013/12/25

頭痛 on NMS

冬の小川山。
氷点下の中、ついに頭痛が登れた。
完登スタイルは(ス)ノーマット、グランドアップ、ノースポットという自身の理想のスタイルでの完登だった。
雪中でのクライミングなので足が濡れないようにスタートには足拭きマット等敷いてはいるがフォールする領域には一切マットを敷かずのトライだった。

-3℃...
自分はマットを使って登ることが大衆的な時代にクライミングを始めた人間だが経験を積み様々なクライミングを知るにつれ、スタイルによってクライミングがより厳しく、より美しくなることを知った。
どんなにグレードの高い岩を登っている映像より、どんなにカッコいい岩を登っている映像よりもノーマットスタイルで難課題を克服していくクライミングに格別な衝撃を受けたのは今でも覚えている。(「小川山の日々」/VHS 参照)
自身の中ではクライミングの数あるスタイルの中でもノーマットスタイル、グランドアップスタイルというクライミングスタイルに非常に魅力を感じていた。
しかし、その頃には既にマットというものは自身にとって外岩のクライミングでは無くてはならないものであって、挙げ句には風呂マットやマットレス布団で自作マットを作ったりもした。
それでもコツコツと自分の求める理想のクライミングを実現するために修行と銘打って簡単な課題から少しづつノーマットスタイルの経験を積んでいった。
実際、クライミングをする上で、怪我をしたくない、でも冒険的なクライミングはしたいという思いの葛藤は常にあって、理想のスタイルで登りきれない課題はたくさんあった。
しかし、今回の頭痛の完登で一つの答えを導けた。
最初から最後までノーマット•グランドアップを貫ければ最高のスタイルになり得るのだが自分にはまだまだその力量は無い。
そもそもこのご時世、普通のサラリーマンにとっては(クライミングバムでも無い限り)公開エリアでノーマットスタイルを貫くのは様々な困難がある。
そこで、ロープを使わずグランドアップで登る代わりにマットを使っての試登を行い、その過程を踏んだ上で一発集中ノーマットスタイルで完登トライする。というスタイルが自分には1番しっくりくることがわかった。
もちろん、全ての岩でこのスタイルを実現することは難しいし、力量・場面ごとの判断での使い分けは納得のいく範囲で行なっていこうと思う。
スタイルが限界突破のリミッターになっては本末転倒だ。
何はともあれ、今後もスタイルというものを尊重し、困難なクライミングを楽しんでいければと思います。



さて、前置きが長くなりましたが本題です。
今回登った頭痛という課題に関してですが、この課題は小川山の水晶スラブ岩下ボルダーエリアの不可能スラブという岩にある課題です。
初登は草野氏で、私の知る限りではその後の再登は室井氏、関西のクライマーさん(名前不明)、中嶋徹君、Kさんの5人くらいしかおらず、初登されて以来、全国的に見ても極めて再登の少ない課題であることは間違いありません。
黒本を開くと頭痛には三段というグレードが表記されており、三段というと今や普遍的なグレードですが、頭痛に関してはそれとは裏腹に非常に厳しい課題で、少なくとも3〜4段に感じました。
尚、頭痛の横に五段というグレードの伴奏者がありますが、今や伴奏者は初登よりも良いムーブが見つかって再登者も多く、当初の五段というグレードよりも実際は甘く感じています。(最近、NMSでも再登しましたがやはりグレードは4段くらいが妥当。しかし、それだけ外岩でのスラブ課題はムーブ、ホールドの発見によってグレードが左右する可能性を孕んでいるのだろうということで納得しました)
ちなみに今回の完登シューズはやはりSCARPA / ブースティック。
面乗り系のスラブまでこなせるとは正直驚きでした。


ここに至るまで4年。
頭痛が登れたことでいよいよ覚醒への道が開かれました。
何年かかるのか全く想像もつきませんがまたコツコツと精進していこうと思います。
頑張ろう。


=追伸=
「不可能スラブ岩の不思議と魅力」

岩のスラブ面の左側から伴奏者、頭痛、覚醒、不眠症といった課題がありますが、実は同じ岩の中でも岩の結晶粒径がかなり異なり、様々なタイプのスラブクライミングが楽しめます。
伴奏者は結晶の粒径が大きく(粗く)、実はフリクションにそれほどのシビアでも無く、ホールド•ムーブも大きくてムーブ強度で言えば比較登りやすく、スラブクライミングのイメージというよりも保持系のスラブ課題です。
しかし、すぐ隣の頭痛は打って変わって結晶が細かく、シビアなバランス•フリクションが要求され、これぞスラブといった課題です。
さらに発表グレード三段ということもあり、よくトライされているのかスタンスは比較的磨かれて、にも関わらず上部のホールドはポロポロ取れたりと結局完登するまで何度もムーブの変更を余儀なくされた。まさに頭の痛くなるような課題でした。
不眠症は1日でリップ直下まで行けてしまいましたが未だ完登できておらず(リップ取りが核心とウワサ)なので難しさはよくわかりませんが、ホールドも明瞭、かつしっかりしているので登りがいがあります。
スラブを登る姿は地味で、マニアックで、やっててもあまり格好のつかないイメージですが、非常に頭も感性も使う上に一歩一歩に成長を感じられる素晴らしいクライミングを体験できます。
是非とも一度足を踏み入れ、どっぷり浸かってみて下さい。(たぶん抜けられなくなります)

頭痛 on NMS

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