2015/10/19

千日の瑠璃

10月18日 モアイフェース 23日目
 瑞牆 十一面岩正面壁の通称モアイフェースを全ピッチ完登、初登しました。

ルート名は「千日の瑠璃」(せんじつのるり)

ルート名は好きな作家である丸山健二氏の代表作から拝借しました。
クライミングで泣くことがあったら付けようと思っていた名前だったのと、ルートの内容、開拓の経緯背景など色々と重なることもありこの名前に命名しました。

Photo by Naoya Naito
ルートの内容は全7ピッチ。
全てのピッチにビレイ点以外のボルト、ハーケンなど残置物は設置・使用しませんでした。

1ピッチ目 5.12 Normal PD(35m)
2ピッチ目 5.13c R(35m)  ,RunOut 6m
3ピッチ目 5.14a R(35m) ,RunOut 10m
4ピッチ目 5.13d R/X(40m) ,RunOut 20m
5~7ピッチ目 ベルジュエールへ合流

※第二登の佐藤裕介さんとの協議の結果、グレードを再考しました。

グレードは未だ暫定ですが今まで瑞牆で登った高難度マルチピッチルート(自由登攀旅行、SKY ROCKET、静寂のバルジ、コスモスなど)を参考にグレーディングしました。
ひとまず、現時点において日本最難のマルチピッチルートであり、世界的にも稀な高難度の”トラッド”マルチピッチルートというのは間違いないと思います。

このルートが今後どういう評価をされていくかはわかりません。
しかしノーマット、ハイボルダー、グランドアップといったボルダリングで地味にコツコツと修行をし、こういった形で一つの結論を体現できたことはとても感慨深く、意義あるものでありました。
この岩壁が今までの自分のクライミングを肯定してくれたような、そんな気持ちになり、とても大きな自信になりました。
このルートは間違いなく私の10年間のクライミングの集大成です。


3ピッチ目、モアイ右目のトラバース
Photo by Satoru Hagiwara

3ピッチ目、第一核心
Photo by Yusuke Satou
第二核心、6〜7mランナウト地点でのデッドムーブ
Photo by Yusuke Satou

私がこのルート開拓を通して表現したかったことはボルトの批判でもなければ否定でもありません。
現代において未踏の残されたルートを開拓するということはどういうことか。
カンマンボロン、大面、小面、大ヤスリ、小ヤスリ(駐車場からも!)など瑞牆のどこからでも見ることのできるこの岩壁に、35年以上もの間ボルトが打たれなかった意味に思いを巡らせると、ボルトレスというスタイルを選択したのは必然だったのかと思います。

もしライン上にボルトを打たなければ登れない判断になったとしたら…自身は一旦手を引き、モアイフェースは未来のクライマーへ託すかもっと精神的にも肉体的にも強くなって戻ってこよう。そう心に決めた。
あれから三ヶ月。
雨の日も、炎天下の日も、ほぼ毎週この岩壁に通い続け、先人たちへの感謝と敬意を以ってこの岩壁と深く対話出来た日々はとても素晴らしいものでした。


この日の帰り道の夕空も、いつもと変わらない瑠璃色の空でした。
Photo by Keita Kurakami


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