2015/10/08

モアイフェース開拓記①

モアイ1ピッチ目のレッドポイントを達成し、一区切りついたので今まで書き溜めた記録をここに残そうと思います。
長文なのでご興味ある方だけどうぞ。






5/18
自由登攀旅行を登り初めて大面岩の岩頭に立った時、真っ先に目の中に飛び込んできた岩壁がそれだった。
大ヤスリ、小ヤスリ岩の存在感もさることながら、山の正面に堂々と構えるその岩壁は異様な存在感を放っていた。
一緒に自由登攀旅行を登ったパートナーの佐藤裕介さんにその岩壁のことを尋ねると名前をモアイフェース、未登であるという。
とんでもない未登の岩壁が残されていることへの驚きと期待に、どこか胸の高鳴りを感じた。

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モアイフェースを目の当たりにして以来、その未登の岩壁への想いは日々膨らみ、岩場、エリアの歴史、開拓スタイルなどコツコツと情報を集め続けた。
が、結局わかったのはやはりこの岩壁が未登であるということと、そしてラペルボルトは容認され難いということだけだった。
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7/19
結局、岩壁を見てみないことには何も始まらないと踏ん切りをつけ単身モアイフェースへ。
この日は昼に駐車場に着いたので翌日の登攀のためのギアをデポしにツバメのハングへ。
ロープ2本にカム、ナッツなどギアフルセットを担いで歩くアプローチに「これから毎週このアプローチをいくのだろうか…」と少し億劫になった。


7/20 モアイフェース1日目
7:30発。単独。
まずはグランドアップスタイルで攻めることにし、秋一番の1,2ピッチをロープソロしてモアイ下のテラスへ行った。
ロープソロで登るのは初めてであったがこの岩壁と対峙するタイミングを先延ばしにしたく無かった。

たった2ピッチだったが慣れないソロシステムでのクライミングは予想以上に大変で、何とか15時過ぎにモアイフェース下のテラスへ。
取り付きから見るモアイフェースは、綺麗なスカイラインを纏ってはいたがそのスカイラインが頂点ではないことは明らかであった。
ここに来るまで何度も何度も写真を見てラインを思い描いていたが実物は想像を遥か上回るほどに巨大だった。
しかし、登れるのかという不安よりも未到の岩壁を目の前にして、その岩壁と対峙できていることに言い表し難い感動を覚え、暫くその場に立ち尽くしてしまった。



空は青く、風が木々を揺らしていた。
今思うとその時間はなんともいえない不思議な時間だった。
岩との対話、そんな言葉がしっくりくるのかもしれない。
夕暮れ間近だったが衝動は抑え切れず目の前に見えるクラックに取り付く。
やはりここでもロープソロだったのと、慣れないクラック登りで難儀したがモアイフェース解明への第一歩を踏み出せたことがただただ嬉しかった。
過去のエイドルートのものであろうか、クラックが途切れた先にRCCボルト支点があり、そのころには日も暮れ暗闇の中、懸垂下降しツバメのハングへ。
モアイ下のテラスからは70mロープであればギリギリ地上まで降りられた。


7/25 モアイフェース 2日目
モアイフェースには壁の中央部にある大フレークまで登りベルジュエールに合流する南回帰線というエイドルートがあるらしい。
と、早速その情報を教えて頂いた会社の先輩のK山さんと登りにいった。
下部は秋一番の1、2ピッチを経由してモアイ下テラスへ。
モアイフェース1ピッチ目のクラックは倉上リード。
前回苦労したのが嘘のようにペアで登ったら何てことも無いハンドクラックで、記録通りにクラック終端のRCCボルトからさらに右へボルトラダーが続いていた。
そのままトラバースし、ここでもまたRCCボルトでビレイ点が作られていたのでここでピッチをきる。
ここまでやけにスムーズだったが問題はここから。
出だしの脆そうなフレークから上のワイド気味のクラックまでホールドが見当たらない。
とりあえず今回は錆びたボルトラダーを使ってエイドで登りながら壁の様子を見てみたがプロテクションもろくに取れないし、南回帰線との同ラインフリー化はちょっと厳しそうなことがわかった。


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今週は会社の展示会があり多くの先輩クライマーから瑞牆の歴史、開拓の思想、時代の流れの話を聞くことができ、モアイフェースを開拓するにあたっての自分なりの考えやスタイルの方向性を考え直す良い機会になった。
理想はグランドアップ、ボルトレス、レッジ ・トゥ・レッジスタイルでの開拓であったが中間部〜岩頭までは遠目の写真から見ても明らかなようにクラックは見当たらず、最悪ノープロテクションで何十メートルも登らなければならない可能性もあった。
グランドアップを貫き、ジャンピングボルトという選択肢もあったがこの岩壁にボルトを打つことへの抵抗の方が遥かに大きいし、自分がやりたいのはそんなクライミングじゃない。
これだけ目立つロケーションにある岩壁が何十年もの間ボルトを打たれることなく在り続けたことにどうしても考えが巡ってしまうのだ。
色々と葛藤はあったがこの岩壁とはプロテクションクリーンのブリティッシュスタイル、かつレッジ ・トゥ・レッジで攻めたい。
ラインの全容が見えていないのでラペルでの掃除とビレイ点の設置は妥協するとしても、もしライン上にボルトを打たなければ登れない判断になったとしたら…
自身は一旦手を引き、モアイフェースは未来のクライマーへ託すかもっと精神的にも肉体的にも強くなって戻ってこよう。
そう心に決めた。
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8/1 モアイフェース 3日目
駐車場7時発。単独。
十一面岩頭からの下降路を経由し、頂上から懸垂下降でモアイの頂上へ。
ひとまず立木にスリングで支点を設置。
モアイの頭でしばし躊躇した後、ひと思いにロープを放り投げる。
クライミングを始めて以来、どんなハイボルダーでもルートでもグランドアップを貫いてきた。
今日の出来事は自身にとってはあまりに大きすぎる己の弱さの享受と、妥協であった。
長いこと感慨にふけながら、とはいってもこの日は夕立が来るとのことなので昼過ぎあたりに懸垂下降を開始した。



まずはプロテクションが取れそうな箇所を探る。
今回探ったのは上部。約40mのピッチの中でプロテクションが取れそうなのは5箇所のみ。
クラックは無くポケットにカムを効かせる、かなりプアプロテクションな感じだった。
夕方は予報通り夕立にあう。
モアイの頭から懸垂して白くまのコル下のアレアレア取り付きから帰ろうと思ったが、予想以上の雷雨にアレアレア取り付きから白くまのコルまでの数メートルのアプローチは滝となってしまっていた。
雹も混じってきて、微妙なスラブのフリーソロには相当参った。



8/2 モアイフェース 4日目
4:30起床。6時発。単独。
今日は時間短縮のため白くまのコルからベルジュエールをフリーソロしてモアイの岩頭へ。
大フレークピッチは程よいアップになるがワイドクラックはとても恐ろしかった。
今日は主に中間部の掃除とライン探り。
クラックの開拓経験が皆無だったので効率的な道具が無く、ナッツキーでクラックを穿って掃除。
クラック掃除だけで半日以上ぶら下がっていたと思う。
この日も夕暮れまで作業。
途中、脱水症状になりかけ前腕、上腕、足裏と色々と攣ってしまい岩頭までの登り返しがとてもしんどかった。

8/15 モアイフェース 5日目
単独。前回探ったラインとは別のフェース中央を行くラインを探る。
モアイフェース下部の出だしのクラックが閉じ、南回帰線のRCCボルトが打ってあるポイントから直上する色茶けたラインだ。
一通りプロテクションの可能性を探ってみたがかろうじてマスターカムの#1とX4#0.5サイズが決められそうだったがランナウトは免れないだろう。
スラブから前傾と急に傾斜が変わるので下部で落ちたり、上部でもプロテクションが抜けてしまうとスラブ面に叩きつけられてしまいそうだ。
まずは下から1ムーブづつ探り、水晶が連なるトラバースセクション(水晶トラバースと呼ぶ)手前まで解決。
水晶トラバース部も少し探ったがまったくムーブが起きず、核心はこのトラバースになりそうだった。
日が暮れはじめるまで探り続け、21時頃下山。



8/16 モアイフェース 6日目
4時起床、5時半発。単独。
未解決の水晶トラバース部を探る。
が、やはり難しい。トラバース部分だけでも三段くらいありそうな感じだ。
そんなことを思っていたら水晶トラバース合流部のキーホールドであった掛かりの良いカチが欠けてしまいさらに絶望感漂う感じになってしまった。
SKY ROCKETでもそうだったが、なぜか花崗岩では茶色の岩面は表面が風化しているのか脆い箇所が多い。
欠けた付近を日暮れまで探るが解決できず。あれやこれやとムーブを妄想しながら21時頃着下山。


8/22 モアイフェース 7日目
駐車場をゆっくりと9時発。
前回の絶望感が拭いきれず他のラインを探るがどうも微妙。やはりこのラインで登りたい。
欠けてしまったカチも欠けた右側が巻き込み気味のガストンで持てそうであることがわかり、無理くりのボルダームーブでなんとか解決。
再び水晶トラバースのムーブ探りに戻る。


8/23 モアイフェース 8日目
4時起床、6時発。単独。
朝からしつこく水晶トラバースを探り、最もランナウトする水晶トラバース終端のフレーク合流部と絶望感漂う2mランジを残してほぼムーブ解決。
その後はモアイフェース2ピッチ目以降の上部も少し探ってみたが、さらなるランナウト&ハードムーブ。
これを登るにはランナウトに耐えれる精神力とさらなる登攀能力が必要そうだ。
そしてあまりの滑落っぷりにモアイ頭から垂らしていたロープもすごいことになっていた。
落ちる度にバンド帯で擦れて外皮が逝ってようだ。
身を以て自分の会社の製品を信頼テストすることになるとは…ともあれロープがユニコアで本当に良かった。


8/29 モアイフェース 9日目
予報は雨だが瑞牆へ。単独。
現地は予報通りの雨。とりあえず十一面岩へ向かうが真っ黒なモアイフェースを見てがっかり。
下部は雨でも登れるパートだと思っていたがそんなことは無かった。
ギアの整理を行って下山。夕方、ピラニアへ。
久々に遠藤さんにお会いし、色々と近況報告&セッション。
明日の天気回復を願ってほどほどに終了。
夜は瑞牆に泊まったが結局次の日も朝から雨。
管理棟で茹でたてのトウモロコシを頂いたり、野菜を買って帰宅。



9/5 モアイフェース 10日目
5時発。単独。
秋雨前線真っ只中の貴重な晴れ間。日々、夜明けが遅くなっていく。
葉も薄っすら色付き始め、通い慣れたアプローチもいつもより明るい。
心地よい焦りと期待とともに、シーズンが始まろうとしている。
この日も集中的にモアイフェイス1ピッチ目。
しつこくムーブを探り、ついに水晶トラバース終端部と2mランジを解決することができた。
5.10マイナスのクラック+3段+2mランジといったところか。
フェースにボルト無しオールナチュラルプロテクションで、Rは間違いなく付きそう。
明日に備え、珍しく夕暮れ前に下降。
燕ハング下で会社の先輩や知り合いに会い、早めの下山。


9/6 モアイフェース 11日目
6時発。パートナーは高所帰りの佐藤さん。
ほぼ独学で進めてきたルート開拓だが色々なノウハウはとても勉強になった。
雨予報だったが実際は最高のコンディションで、一気にワンテンまで近づく。
最後の2mランジもだいぶ安定してきた。
いよいよモアイフェース下部のレッドポイントが現実的になり始めた。
開拓開始から約2ヶ月。取れるプロテクションの数も少ないしホールドも悪い。
ボルト無しでは不可能とまで言われた。
しかし今、ボルトを1本も打つことなく全てのムーブが繋がった。
ハードムーブの中、グランドスレスレのランナウトは否めないがビレイ点は妥協するにしてもやはりライン上にボルトは打つべきではない。
このルートの価値はそこにあるのだから。



9/12 モアイフェース 12日目
6時発、単独。
ツバメのハング越えは南回帰線のエイドラインを選択し掃除。このルートの1ピッチ目になる。
2時間ほどぶら下がりクラックラインはだいぶ綺麗になった。
が、水の流れが変わってしまいホールド上が水の通り道になってしまいちょっと厄介な感じになった。
まぁ、晴れが続けば問題無い…と思う。
ドロドロになりながらモアイ下のテラスへ。
明日のRPトライへ向けてクラック部などの掃除。
まだまだムーブやプロテクションへの不安は多く、トップロープでの試登は一度のみでその時も通しではまだ登れていない。
いささか時期早々な気もするし、トップロープでムーブを固めまくってトライすれば確かにリスクは減らせる。
がしかしどうしても刺激あるクライミングを求めてしまうようだ。
明日が楽しみだ。


9/13 モアイフェース 13日目
6時発、会社の先輩萩原さんにビレイを付き合って頂いた。本当にありがたい。
8時頃モアイ下テラスへ。
いよいよモアイフェイス1ピッチ目のレッドポイントトライ。
1トライ目。
トラバース入り口でフォール。
さすがにアップ無しの1トライ目では動きがぎこちなかった。
しかしランナウト手前で固め取ったX4#0.5とマスターカムはバッチリ効いているようだ。

2トライ目。
時折雨が降るが壁は前傾していて濡れにくいのでむしろこれくらいの方が風も吹き調子良く、9月とは思えないほどのコンディションだった。
ほぼノーダメージで下部のクラックをこなし穴ガバへ。
肝となるプロテクションセットもスムーズだ。
核心のガストンパートを突破し、吠え続けながらトラバースを超える。


Photo by Kenichi Moriyama
もう少しでランジ手前のガバフレークだ。
1手進めるごとに完登に近づいていく、と同時に恐怖感も増していく。
もう戻れない。
クライムダウンパートで落ちたと思ったがギリギリのバランスで耐えていた。
すでにランナウト最頂点。
しかしパンプしてホールドの感覚が無い。
ヤバイ!落ちられない!と目の前に見えるガバフレークに咄嗟に手を出したが次の瞬間、身体は宙を舞いスラブ面に叩きつけられていた。
10mの墜落だったがとりあえず大事には至らず足首の捻挫と打撲で済んでいた。
たまたま撮っていた動画を見返したらまるでHard Gridのワンシーンのようだった…
全ては自分が招いた結果であるがクライミングの厳しさを身を以って再確認することとなった日だった。
しかしこれこそずっとやりたかったクライミングであるのも事実。
怪我のショックは大きいけれど退屈なクライミングを続けてるよりも遥かにマシだ。
でもヘルメットはちゃんと被ろうと思った…



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<怪我の経過>
初診は踵の骨にヒビが入っているとのことだったが経過観察のため再診したところ実は骨に異常は無いとのことだった。
しかし足首の三角靭帯の損傷の方が酷いとのことだったので、それならば超音波治療器のある接骨院の方が良いだろうと知り合いのいる接骨院へ。
丁寧な触診と落下時の態勢の検証をしてくれるなどとても親身なところだった。
シルバーウィーク前中半は主に通院...
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9/22、23 モアイフェース 14、15日目
シルバーウィーク後半、瑞牆へ。単独。
ぶら下がっての掃除だけならなんとかなるだろうという思惑。
足はまだまだ引き摺って歩く程でいつもなら1時間半もかからないアプローチのところをつま先立ち歩行で2時間以上かけてノロノロと。
結局、シューズは履けるし、ヒール以外は使えるので掃除の後に登ってしまったが治療期間中にひたすらやってたカチトレと減量のおかげで懸念していた上部のブランク核心パートはほぼ全て解決。
残りのパートもまぁ問題なさそうだし、いよいよモアイフェース解決への兆しが見えてきた。
とはいえこのモアイフェース3ピッチ目は小川山の頭痛ほどではないけど中々厳しいスラブ。瑞牆ボルダーだと三段の霧あたりか。
ラインを明確にするようなクラックは存在せず、プロテクションは点在するポケットにキメられるが上からぶら下がってラインを観察でもしない限り、初見ではどのラインを登れば良いのかわかりにくい。
しかし、完全なブランクと思っていた一面にもしっかりと弱点は存在し、岩頭まで導かれるラインは存在した。
オールボルトレスで登れれば確かに素晴らしいスタイルではあるのだけれど、そもそもスラブ故にホールドが見えず、それ故ラインが不明瞭。
ラペルでのホールドチェック前提の課題はマルチピッチではいささかシンプルさに欠けると思う。
後世に遺すラインとして、そしてラインの明瞭さとシンプルさを追求していくとボルトを妥協点としてではなく、ラインを明瞭にするツールとして捉えるに至ってしまう。
クライマーが壁の途中で迷子になってしまうような曖昧さを残してでもボルトレスを貫いたほうが良いのか。
それともラインの明瞭性という意味でのシンプルさを追求したほうが良いのか。
どちらがよりシンプルなスタイルなのか...
といっても、やはりこの3ピッチ目のライン上にもボルトは打ちたくない。
モアイフェース開拓を通じて沢山の大先輩クライマーの方に開拓のノウハウやスタイルのアドバイスを頂いたのだが皆、言葉の最後にはこう仰っていた。
「一番大切なのはそのルート開拓を通して自身が何を主張したいかだ。」と。
ルート開拓というものは奥が深い。


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この「ラインを明瞭にするためのボルト」に関して多くの先輩クライマーに意見を伺った。
が、その返答の9割以上が例えラインが不明瞭だとしてもボルトなしで登れるなら打つべきでない、というものだった。
そして、尊敬する先輩クライマーの方に頂いた一節が後押しとなり、やはりライン上にボルトは打たないことに決めた。
「人のための行為が、果たして人のためになり得るのか?」
再登者がどこを登ろうがそれは再登者の自由であり、それも一つのラインである。
トポに線を引けばラインどりはある程度明確になるし、再登者がもっと合理的と思われるラインを見出せば(バリエーションとして)そちらを登れば良いだけ。
大きな山でも小さなボルダーでも、ルート上に人(初登者)の痕跡を残すことは、ある意味これからのクライマーの創造力という未来を摘み取る行為と同義と考えられる。
もし、開拓者がボルトを打たずにルートとして公のものにすれば、それこそが再登者のために人の痕跡を残さない結果となり、初登を目指して岩とディープに対話している行為を何十年後の再登者も同じ体験が出来得る可能性を残すことになるのではないか。
本質的な意味でのクライミングとはそういった行為であるべきである。 
と。
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10/3 モアイフェース 16日目
Photo by Satoru Hagiwara
モアイフェース1ピッチ目、レッドポイント。
グレードは暫定的に5.14a/Rとしようと思う。
ハイボルダーとして捉えたら核心の一連のムーブは三段くらいだけど写真の枠に収まらないほどのランナウトが精神的なプレッシャーを助長していく。
しかし、自分にとって肉体的にも精神的にもとても困難だったこのルートを、グランドアップはかなわなかったもののボルトレスというスタイルを貫き登れたということが最も重要で、自身にとってはもうそれだけで十分な気もする。
クライミング人生で初めての拓いたルートがトラッドルートというのも感慨深かった。
レッドポイント後、クラックにカムでビレイ点を作り南回帰線と同ルートにてモアイの鼻を下からまわってベルジュエールのチムニーピッチ合流点まで登ったがこのピッチも内容があってとても充実したラインだった。
裕介さん曰く、5.10bくらいとのことだが個人的には結構辛かったけど、もっと辛かったのは超絶不快なビレイポイントにいた裕介さんだろうな…
クラックのすぐ右上に両手を話せるレッジがあるのでビレイ点はそこに設置しようと思う。
残るルート1ピッチ目のツバメ返しのハングパートを登れば、多少ライン取りは異なるが南回帰線のフリー化も達成できそうだ。
だけど、ここはワンプッシュの時までとっておきたい気もする。
そして残りのモアイフェイス2ピッチはさらなるランナウト。
これから先は得意の垂壁・スラブだけど精神的な困難度はより濃くなっていく。
骨は折れても心は折れないよう頑張らねば。


10/ 4モアイフェース 17日目
単独。今日はモアイ2、3ピッチ目のトライに向けビレイ点の整備へ。
朝、SKY ROCKETの初登者である福田さんにビレイ点用のボルトを譲っていただく。
ボルトを打つなんて初めての経験だったが意外と順調だった。
が、残り1本というところでバッテリー切れ…
次回持ち越しになってしまったが来週からはいよいよモアイ2、3ピッチ目のトライだ。

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